2021以降の金価格の見通し。

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金価格推移(2011〜

結論

実体経済の不確実性が意識され、FRBの緩和政策が続く限りは金価格は底堅い動きで推移すると考えられる。

今後コロナ禍の落ち着きが見え、実体経済の回復基調が見え始めると、緩和政策の縮小に先行する形で金価格はピークアウトしていく可能性が高い。


直近の動き

コロナショックの暴落から株価は急回復しており、すでに最高値を更新している。一方、安全資産とされる金価格は高値を付けた後に一旦の調整相場となっている。

これは、民主党政権誕生による大規模景気対策期待と財政懸念による金利上昇圧力が背景にある。また、過去の例から見ても、株価が最高値を更新した事から今後は量的緩和の出口を探る展開が懸念されるため、金価格のピークアウトを探る形で下落圧力が働いている側面も考えられる。
www.nikkei.com


今後の金価格の動向は米FRB量的緩和の方向性に大きく左右される。

  • 株価はすでに最高値を回復しており、早々に量的緩和の縮小、打ち切りとなれば、金価格は暴落する可能性が高い。
  • 一方、実体経済に回復の兆しが見えてこない以上は直近での緩和縮小は難しいと予想される。
  • 民主党による財政出動→大規模量的緩和継続のサイクルが続く限りは一段の金価格上昇も見込める。
  • 雇用統計等の米国実体経済指標に回復の兆しが鮮明になると、緩和縮小懸念からの金価格ピークアウトが想定される。

2013以降の金価格暴落の背景

歴史に学ぶと言う意味で、過去の暴落局面の背景を確認しておく。

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金価格推移(2011〜
  • 2013以降の金価格暴落は、FRB政策金利0.25%、QE3(2012〜2014)環境の下であった。
  • 社会情勢的にはリーマンショック後の景気回復局面。(2013/3月にダウは最高値を更新)
  • 金価格の大きな上昇は2006~2012頃まで続いている。
  • 2006年に米国住宅価格がピークアウトし、QE1(2008〜)、リーマンショック(2009)、QE2(2011〜)
  • 世界的な景気不安の顕在化とFRBの金融緩和政策が重なる中で資産逃避先として金価格の高騰が起き、株価の回復とQE3の縮小を期に、2013以降暴落していったと言える。

金価格は、実体経済の不確実性の高まりの中で大規模金融緩和と共に高騰し、景気回復基調が見え始めた中で緩和政策の縮小に先んじてピークアウトしていると言える。
現在の環境に照らし合わせると、未だ実体経済の回復見通しは立っておらず、FRBは緩和政策の長期化を打ち出している。
www3.nhk.or.jp
この辺りの背景から考えるに、緩和政策が続く限りは金価格は底堅く推移していくと思われるが、実体経済の回復兆候が現れ始めると共に緩和政策の縮小に先行してピークアウトしていく事が想定される。
金価格が暴落した理由(小菅努) - 個人 - Yahoo!ニュース
(↑は2013年当時の金価格暴落に対する考察記事)

コロナ禍でのFRB金融緩和規模(バランスシート)

OANDAがわかりやすくまとめてくれている。
www.oanda.jp
ここに掲載されているグラフからは、QE1〜QE3でFRBのバランスシートの拡大規模は大まかに3.5兆ドル程度となっている。
一方2020年以降に実施されている量的緩和規模はすでに3兆ドルを超える規模に達しつつある。
今後もこのスピードで量的緩和を進めていくとするならば、未だかつてない規模/速度でドルが供給されていくと言うことになる。
なお、全体的なバランスシートの規模としては日銀、ECB共に大差のないスケールとなっている。(FRBだけが独走しているわけでは無い)
今後の緩和規模が急速に縮小されると言う事がない限り、世界的に見ても今までに例のない異次元的な規模で金融緩和が行われており、そういった意味では金価格の底上げ圧力が蓄積されている可能性は十分にあり得る。

その他

以下についてはまた別にまとめる

  • 金利はなぜ上がり、金価格はなぜ下落するのか?
  • 仮想通貨の影響

www.sbibim.co.jp

investing.com

以上。